西法寺トップ
今月の掲示板
西法寺の正門の右に、小さな掲示板があります。
12月は、この言葉を掲示しています。
当たり前と思っていたことが、そうでなかったと感動した時、人生は輝く
ブラックジャックによろしく、という漫画があります。
手塚治虫の医療漫画「ブラックジャック」を意識して書かれた漫画だと思い、手に取ってみましたが、どうやら作中の内容とは直接しないようでした。
ですが、色々考えさせられる、本当に面白い漫画です。
その中に、末期の癌患者のお方の物語があります。
癌が判明したのは、40代のお母さん。
サラリーマンのご主人と、小学生の、二人のお子さんがおられます。
当時はまだ、がんの告知はしないのが当然の時代。
ですが、未承認ではあるけれど、最新の抗がん剤を使用するために、告知がなされます。
担当医から、末期がんであること、余命一か月半であることが、告知されます。
そのお母さんは、激しく動揺し、怒り、絶望、希望、むなしさ、様々な感情の入り混じる中、病院とは距離を置かれます。
ご主人と二人、他の病院でセカンドオピニオンを聞いたり、民間療法を見に行ったりする日々。
そんななか、ご主人と二人の車中です。
ラジオから音楽が流れてきます。
♪明日があるさ、明日がある。
♪若い僕には夢がある。
♪いつかきっと、いつかきっと、わかってくれるだろう。
♪明日がある〜。明日がある〜。明日があ〜る〜さ〜。
それを聞いたお母さんがおっしゃいます。
不思議ね。前にテレビで聞いた時には楽しい歌だったのに。
ねえあなた。絶望ってすごいのね。私知らなかった。絶望って、もっと・・暗くて色のないものだと思ってた。
まぶしいのね・・・絶望って。
いつもの景色を、まぶしく見せるのね。
とても印象的な場面でした。
この日常が、今日で最期かもしれない。
そう思うと、何気ない日常こそが宝物だったと輝く。
本当だな、と思いました。
私たちの日常には、本当は、当たり前なんてありません。
聞いたことはある。
頭ではわかっている。
でも、その事を実感しながら生きていくことは、非常に難しいと思います。
だからこそ、お仏壇に向かったり、お墓参りをしたり、お寺に足を運ぶことが、大切なのかもしれません。
命の終わりに接すれば、何気ない日常が輝く。
命の終わりに接することは、難しいけれど、懐かしいお方々と出会いなおしていけるお念仏や、倶会一処のお浄土であれば、接していくことはそんなに難しいことではありません。
お念仏の中に、お浄土の中に、命の終わりに対する光を見ていくだけでなく、何気ない日常にも輝きを見ていく。
そんなことを考えさせられる、今月の言葉です。
称名相続